2011年春ベルコモンズの4階に誕生した陶芸教室 彩泥窯。ガラス張りの広々とした空間、明るく自由な雰囲気、都会の真ん中に位置しアクセス良好。それだけでも惹きつけられますが、彩泥窯の魅力はさらに奥深く。メディアでも多く取り上げられ、最近もっとも注目を集めている陶芸工房について、主宰の中野拓さんに話を伺いました。これから陶芸を始めたいと思われている方は必見のインタビューです。
Interview & Text : 山下智美 Photo : 佐々木実佳
日本一いい工房を作りたいと思いました。それでまずユーザーフレンドリーな工房を目指したんです。オープンタイム制で予約せずに教室に来ることができて、いつ来ても個別指導が受けられる。また、日本一釉薬や土の材料を揃えて、形式に縛られることなく色々な組み合わせで自由に創作ができるというように。 もともと陶芸教室は窯元出身の方や、著名な陶芸家のお弟子さんによるものが多いのですが、私は窯元出身でもなければ誰かの弟子でもなく、社会人になってから陶芸を始めて自分で続けてきました。ですから、工房を作る時、伝統的なものやひとつの作風にとらわれることなく、自由な発想でこういうものがあったらいいなと感じてきたことを取り入れました。 オープンタイム制についていえば、ここでは月4回のコースが多いのですが、午前と午後と一日2回来る方もいらっしゃいますし、一時間で終わる方もいれば、4時間くらい続けられる方もいらっしゃいます。一ヵ月の中でいつでも好きなときに、自分のモチベーションや、そのときの予定に合わせて通っていただけます。自分の経験もあり、誰もが通いやすく、続けやすい環境にこだわりました。
陶芸の世界は一般的にとても分かりづらい世界です。例えば釉薬の名前でいうと、白萩釉(しらはぎゆう)は山口県の萩市という産地から名前がつけられていますし、織部釉 (おりべゆう)は戦国武将の古田織部が好んでいたということから名前がつけられ、青銅マット釉などは文字通り銅が入っており、成分からつけられた名前です。一元化された基準がないのは土や技法も同じで、陶芸は他の工芸や芸術と比べても体系的に学ぶのが難しいジャンルなんです。それでどうしても複雑で閉鎖的にとらえられてしまうのですが、彩泥窯ではそうしたグレーの部分を排除して、見本は土ごとに分けて、縦に釉薬をかけ、変化をひと目で確認できるようにしたり、釉薬も二つ以上の組み合わせで見せるなど、あらゆることをオープンにして、初めての方でも分かりやすく学べるようにしています。
会員は老若男女です。子どもから大人まで楽しめるのが陶芸の良いところですからね。ただ、今までの陶芸教室には年配の方が多いイメージがあるでしょうし、実際にそういうところがほとんどなのですが、彩泥窯は若い方が多く、会員は女性が8割、男性が2割です。 年配の方は近所でサークル的に楽しくという傾向がありますが、若い方はそれよりも、自分のやりたいことや自分のライフスタイルに合っているかどうか、内容をかなり精査して教室を選ばれるので、幅広い地域からいらっしゃっています。色んな教室に行ったけれど初めてここで作りたいものを作ることができたと仰ってくださる方も多いですね。
バブルの頃も陶芸を習う方は多かったのですが、備前から高額な土を取り寄せたりして、身近な習い事ではなかったと思います。しかし時代が変わり、これまでの陶芸と、これからの陶芸は違ってくると思います。皆さん忙しくて限られた時間の中で学ぼうとされていますし、こういうものを作りたいと明確なイメージを持っている方も多いです。ですので、そうした方たちに合った環境を整えていきたいと思っています。特にこの工房は都会の真ん中にあるので、「都会と共生するやきもの作りを創発する」をモットーに、これからの陶芸との関わり方を自分たちで作っていこうという思いがありますね。
アクセスの良さ、広さ、環境、設備、技法、全てにおいて日本一を目指して作ったので、それが叶っていると思います。また、奥のろくろ場に吹き抜けがあり、そこにいるだけで気持ちがいいです。こんな吹き抜けのある工房なんて日本中を探してもそんなにないと思います。 テラスがあるのも大変気にいっています。外で釉薬をかけたり、作業するのが楽しいですし、苔と盆栽を育てているので、ギフト作りで訪れた方に、そこから好きな盆栽を選んでいただいたり。春にはメジロが来ますし、大きな蝶々も飛んできて、都会とは思えない季節感がありますね。 自由な創作環境といっても、四季を映す日本の伝統文化は素晴らしいと思うので、そうしたエッセンスは大事にしています。季節の器を作っていただいたり、釉薬の使い方を変えたり、都会にありながら自然を感じ、それを器づくりの中で表現していく。そうしたことができるロケーションは大きな魅力だと思います。
彩泥窯への体験入門をおすすめします。このコースでは、ひとつの器を4回通って作っていただき、技法だけではなく、工房の雰囲気、指導の仕方、どんな材料を使ってどんなふうに仕上げていくのかなど、彩泥窯そのものを体験していただくことができます。
誰もがいきなり入会してこれから半年、一年頑張ってやるぞというより、自分がこの中に入って本当にやっていけるのだろうかという疑問を持つのが当然だと思うので、この体験を通じて、良かったら引き続きここで陶芸をやってみませんか、というスタイルをとっています。
陶芸はこんなものを作ろうと考えるのも楽しいですし、ものが出来上がってくるのも楽しいです。そして使うのも楽しい。また、土に触れると独特のリラックス感を得られるので、忙しい方は自分をリセットできるとてもいい時間になると思います。
























